ブログ記事の表題、記事タイトルは、そこに何が書かれているのかを端的に表現した短い文章です。したがって、記事を書き始める前に、執筆者はだいたいのタイトルを決めています。何を書きたいのかが分からなければ文章は書けないからです。それをそのまま記事のタイトルにすればいいのです。
たとえばこの記事では、「人とSEOに優しいサイトを作るには、どんな表題を記事のタイトルにつければいいのか」について論述しています。そのため、「ブログ記事のタイトルを考える:人とSEOに優しいサイトを作ろう」という表題になっています。
記事のタイトルより内容が大切
「ブログ記事のタイトルの付け方」というような記事を、どこかのサイトで読んだことがあれば、「あれっ?タイトルが長すぎない?」と思ったかもしれません。多くのサイトでは、検索結果リストで表示される見出しリストの文字数以内でタイトルをつけるようにと推奨しているからです。
しかし、それはそのサイトの考え方であって、わたしの考え方ではありません。わたしにはわたしの狙いがあって記事の表題をつけているのです。どちらが正解かというような問題ではありません。狙いによってはどちらも正しい場合もあるからです。
ブログを書き始めて間もないうちは、ネットに公開されているノウハウの内容を鵜呑みにしてしまうことがありがちです。しかし、サイトごとに執筆者の経験も技術も違い、サイトの狙いも記事の内容も違うのですから、それぞれに違う主張があって当然なのです。
記事の表題は「これを読め」という宣伝文
記事のタイトルは、それに続く文章のアピール、宣伝文、セールストークです。「この記事はおもしろいから読んだ方がいいよ。読まないと損をするよ」とアピールするのが役割で、バナナのたたき売りの口上と同じ、集客のためのツールです。
バナナ売りの宣伝対象は人間だけですが、ネットの検索で読み手がやって来るブログ記事の場合は、検索エンジンにもアピールする必要があります。そこを意識して表題を考えることができれば、応用が利くようになります。
SEOの観点から見たタイトル
検索結果の一覧で記事が上位に表示されるのは、そのサイトが検索エンジンに評価されているからです。つまり、そのサイトのドメインに力があるからで、記事のタイトルが評価されたわけではありません。
記事の内容がしっかりしていてオリジナリティがあれば、適当につけたタイトルでも検索結果の上位に表示されます。しかも、記事の内容に最適なキーワードの検索結果として表示されます。ただし、すでにお話ししましたが、そのサイトが検索エンジンに信頼されていなければなりません。そうでないサイトは、どんなに優れたタイトルをつけても上位には表示されません。
このように、検索エンジンの立場から見れば、最重要なのはサイトに対する信頼性です。立ち上げて間もない個人サイトの場合は、検索エンジンからの信頼評価がほぼゼロですから、あまり深く考えないで、記事の内容を端的に表現したタイトルにするのがベストでしょう。タイトルと内容が合っているということは、サイトの信頼感を得る上で非常に大切な要素だからです。
検索エンジンにクロールしてもらえないという問題
信頼しているサイトとそうでないサイトとでは、検索エンジンの扱いは全く違います。検索エンジンから信頼されているサイトでは、新規投稿記事がほとんどすぐに検索結果に反映されます。信頼されていない新参者のサイトの場合には、新しく記事を投稿してもクロールさえしてもらえないことがあります。クロールされたとしても、タイトルだけを拾われて内容は精査されないことも多いです。当然、その記事はまともに検索されません。
検索されない記事は読まれないので、記事がクロールされるということは非常に重要です。新しく開設したサイトが記事のタイトルを考えるときには、検索結果の上位を取ることよりも、投稿した記事がクロールで精査されることを目指した方がいいでしょう。その方がサイトが確実に成長します。
人間の視点から見たタイトル
検索エンジンで情報を探しているときにクリックされやすい記事のタイトルと、すでにそのサイト内を巡回中の人が読みたいと思って注目するタイトルは違います。わたしたちは、検索結果リストから記事を探すときには、短く分かりやすいエモーショナルなタイトルに目が行きがちです。しかし、いったんサイト内で記事を読み始めれば、より記事の内容が分かる長めのタイトルに注意が向かうことも多いからです。雑誌のオンラインサイトでは長めのタイトルが目につきますが、検索流入よりもサイト内の滞留を重視しているのかもしれません。
検索エンジンからのビジターが長時間滞在するサイトは、検索エンジンの評価が上がる傾向がありますから、サイト内巡回時間を延ばすことを重視して記事のタイトルを考えることも検索エンジン対策になります。そうした記事は、検索流入に期待するのではなく、そのサイトが得意とするテーマに興味を示す人たちが何度も足を運ぶような存在に育てていくことを目標にしてもいいわけです。
サイトを作る目的はさまざまですから、それに合わせて記事のタイトルを考えた方がいいでしょう。
SEOと人間の双方に役立つ記事の表題をつけたい
いったんまとめておきます。
記事タイトルの役割
ブログの記事につける表題(タイトル)は、記事に書かれた内容を読者に伝えるメッセージです。
SEOの観点
検索エンジンに記事の内容を伝えるとともに、ほかの記事との違いをアピールします。
読者の観点
読者の関心を引きつけ、記事を読みたいという欲求を喚起します。
タイトルの付け方
読者に対して、「ほかの記事ではなく、この記事を読むべきだ」とアピールするのが記事タイトルの役割です。また検索エンジンに対しては、「この記事はユニークな視点があってとても有益な情報だ」とアピールし、記事を精査して欲しいと主張します。したがって、タイトルでは、記事の内容を端的に表現するとともに、ほかの記事との違いや面白さも伝えられるように工夫します。
記事をクローラーに読ませる方法
検索エンジンはネット上のあらゆる情報を収集していますが、既存の情報より、新しく出てきた概念や事象に関する情報を優先して集めます。その際、クローラーが手がかりにするのが記事の表題、タイトルです。したがって、記事をクロールしてもらいたいなら、新しい記事には、すでに検索エンジンが集めた記事の表題とは違うタイトルをつける必要があります。
立ち上げて間もないサイトのように、まだ検索エンジンに信頼されていないサイトの場合は、新たに記事を投稿してもなかなかクロールされなかったり、記事の表題だけ収集されて記事の中身はクロールの対象にならなかったりします。その原因のひとつは、記事のタイトルが既存サイトの記事と同じか、ほぼ同じだったりすることです。記事のタイトルが似ているので、すでに収集したほかの記事と同じ内容だろうと判断されているのでしょう。
なかなかクロールされないという問題は広く知られていて、開設から数年経過しているブログでも、新規投稿記事がなかなかクロールされず、検索対象にならないことがあります。新規サイトの場合は、その傾向が顕著です。検索エンジンからの信頼がないために、既存のサイトとは違った扱いをされるのです。そうしたときに記事のタイトルを変えると、翌日にはクロールされることがあります。
プロの編集者が表題を考える商用サイトなどでは、記事のタイトルが似ているだけで裁判沙汰になることがあるほど記事の表題は重視されています。表題次第で売れ行きが違ってくる新聞や週刊誌では、記事の内容以上に記事の表題や見出しは重要です。個人のブログでも事情は同じです。記事の表題は真剣に考えてつけるようにしたいものです。
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(続きます)